ずっとTOEICのスコアが高い人の気持ちがわからなかった。
まさか自分が取れるとは思っていなかった。
先日、自己研鑽の一貫で勉強を続けていた英語の成果が、TOEICのスコアという形で現れてくれた。
3ヶ月ほど学習を継続した結果、860を超えて900に少し届かない程度のTOEICスコアを取得。
自分が予想していたよりもかなり高いスコアであり、知らず知らずのうちに一定の英語力を身につけていたようだ。
TOEIC 860といえば、一応公式によるレベル別ランクの中でも最高とされているAランクへの入り口である。
あくまで個人的な体験談だが、数多ある勉強方法から自分で選んだやり方である程度の効果が出たということで、覚書きがてら自分のやってきたことをシェアしておきたいと思う。
勉強前のレベル
継続的な学習を開始する前の元のレベルはというと、まず5年ほど昔に受けたのTOEICが410点。
その数ヶ月後、上司からの指示で特に対策もせず再度受験したスコアが確か550点くらい。
なぜかばらつきがあるのだが、元の実力はせいぜい400〜500点台といったところだ。
TOEIC以外で言い換えると、
- 中学レベルは完璧ではないが部分的にわかる。関係詞とか仮定法とか言われると怪しい。
- 高校レベルは自信ない、というか高校で学ぶ内容がどれかわからない。
- 大学でも英語の授業はあったが、何をやっていたか記憶がない(単位は取れたはず)。
- 英文のメッセージを受信しようものなら、ノータイムでGoogle翻訳にぶちこむ。レベルによるが時間をかければ読める場合もある。
- 留学経験なし。海外は旅行で数日行った程度。
とまあこんなところだ。
特別英語を得意としない成人日本人としては、割と標準的なレベルだったと思う。
勉強として実践したこと
私の場合はブランクはあったものの以前にもTOEICの受験経験があり、テストがリスニングセクションとリーディングのセクションに分割されていることを知っていた。
それぞれのセクションには別の対策が必要になることも想定しており、特別急いでいなかった私は同時に対策をするよりも片方ずつ攻略していこうと考えた。
ということで、先にリスニングの方から攻めることに。
その後ある程度リスニングの効果が形になったところで、単語や英文解釈などリーディングの対策に時間を割り当てていった。
リスニング対策
リスニングの勉強方法を調べた時、「自分が正しく発音できない音は聞き取れない」という定説をよく目にするだろう。
当然のように英語の発音を正しくできたことがない自分には、それを疑うことも信じることもできなかった。
物は試しで、発音から入ることにした。TOEICの勉強を始めようと思い立って、発音から入る方は案外少ないのではないだろうか。
これは私がTOEICにしろ英会話にしろ、成果を出すには長期戦になると予想し、長い目で見ればある程度発音を押さえることが近道であると信じたからだ。
自分にとってTOEICは入り口で、最終的には英語を読んだり話したりして困らない程度のレベルを身につけたいというゴールを置いていたこともある。
結果的にはこれが大きくスコアアップに寄与することになる。
発音練習
発音練習に取り組むためにまず手に取った教材がこちら。
この教材は発音練習に特化しており、主要な発音記号とその発声方法、特に口の形や息遣いまで細かく解説されており非常に参考になる。
言うまでもないが、正解の音と聴きくらべるために付属のCDと併用した。慣れてくると手元に本がなくても音源だけで練習できる。
こちらの教材、ボリュームはさほど多くないが反復練習を前提に作られており、100回単位での周回を推奨されることになる。
先にそのことを認識して手を出すべき教材だ。音源と合わせて一周30分程度の練習を毎日行って、数ヶ月ほどかかることになる。
そう、発音に関しては勉強というより練習、トレーニングと言い換えた方がずっとしっくりくる。これもよく言われることだが。
音読
上記の教材での発音練習と並行して、音読を行った。
音読は、発音練習の効果を徐々に感じ取れる機会でもあった。
使用した教材はこちら。
この教材を使用した学習方法は、ここで私が勉強方法を説明する必要がないくらい細かく本書に書かれているが、こちらも繰り返しての反復練習がカギとなる。
こちらの教材によると、音読には発音練習以外にも、リスニングをはじめとし、基礎的な英語力を総合的に向上される効果があるという。
信じて数十周繰り返したところ、確かにリスニング力の向上を感じることができた。
個人的に、発音練習と並行していたことも大きい。
CDから流れる英語の音源を併用してトレーニングを行うのだが、正解の音(CD音源)と自分が練習中の発音の乖離を見つけてギャップを埋めていこうとする過程でリスニング力がめきめき伸びていくのを感じられた。
この教材はただ声に出して読むだけでなく、一度読み込んで構文的にも内容的にも理解した英語を何度も何度も声に出してトレーニングすることで効果が発揮される。
文法書ではないので中身の文章の構造は細かく説明されているわけではないが、意図的にレベルを抑えて平易な文章で書かれているため、文法的に困る部分はほとんどない。
あっても少ない箇所。そこの解釈にさほど時間は取られないはず。
リスニング実践練習
なんとなく発音練習と音読の効果を感じ始めてきたあたりで、リスニングの実践練習を始めることに。
使う教材は、TOEIC受験を考えているなら公式問題集で間違いない。
時々新しいバージョンが出版されるが、本番試験の形式もちょくちょくアップデートされているので基本新しいものから手をつけていけば良いだろう。
一気に全バージョン買わなくても良いので、まずは1冊だけ取り組んでみる。
一度問題を解いて採点すると自分の予想スコアが出せるようになっており、自分の経験上割と精度も良い。
ただ、模試のように使用してそれっきりにするのはもったいない。
リスニングパートに関しては、本番テストと同じように解いた後、答え合わせの際に併せて丁寧に内容を確認していく。
暗唱できるまで記憶する必要はないが、音源を可能な限り一語一句聞き漏らさないように頑張って、回答と照らし合わせる。
この時、音読も織り交ぜながら、細かい冠詞や前置詞などの聞き取りが難しい部分にもできる限り注意して聞いてほしい。
多少時間がかかるが、せいぜい試験時間にして45分間の音源だ。踏ん張りどころ。
ここを乗り切ると、初見のリスニング問題は厳しくても、一度答えと照らし合わせたリスニング問題の音源は、テキストを見ないで音源を聞いただけでもかなり内容がわかっているはず。
私は、この内容がわかっている音源を何度も繰り返して聞いていくというプロセスを学習に取り込んだ。
毎日の通勤と退勤で問題の音源を聞き、内容がわかっている英語のリスニングを徹底的に繰り返していく。
初見の文章だと何度聞いても正確に聞き取れない場合があるが、このように正解が既にわかっている文章とその音をリンクさせていくことでさらにリスニング力を発展させていく。
そろそろいい加減聞き飽きたな、というところで公式問題集の別バージョンに手を出すと良いだろう。
完璧に聞き取れなくても大丈夫
本番試験の話で、これは先程までの学習指針と矛盾するようだけど、リスニングに関しては意外と全部聞き取れなくても大丈夫だったりする。
4択の選択肢もあるし、一語一句わからなくても内容の大筋がわかっていれば答えを出せる問題が多い。
もちろん最初から雰囲気で解こうとしていたわけではなく、トレーニングによって聞き取れる単語の割合が増えた結果、スコアの上昇につながったということだ。
あくまで練習では全てのワードを聞き取ることを目指すのが大切だが、なかなか簡単にはいかない。
それでも答えがわかるということは、完璧には至らずともリスニング力が一定のレベルで向上していっているということなんだと思う。
リーディング対策
リーディングに関しては、単語・文法・英文解釈など必要とされる能力が多岐に渡り、個人的にはリスニングよりも敷居が高い印象だった。
要求される知識の範囲が広く、全てを網羅しようと頑張るとどれも中途半端になることを懸念し、ある程度絞って段階的に勉強する作戦を立てる。
単語
まずは、単語に集中。
理由はごく単純で、一度公式問題集のリーディングに目を通した時の率直な感想が「単語わからん」だったからである。
意味がわからない単語が目に止まりすぎ、単語がわからないと自分の文法力も認識できない気がした。
単語に関して、TOEICの問題文を滞りなく理解するために必要な語彙レベルは8000語とも言われるが、そんなに覚えたことがないからどのくらいかかるか検討もつかない。
まずは頻出とされるボリュームゾーンを抑えて、どのくらい読めるようになるか感覚を確かめてみようと思った。
使った教材はこちら。
TOEICテストによく出る単語が1000個に絞って記載されている。
単語帳としては多すぎないので取り掛かりやすく、3〜4周して大半を覚えたところで公式問題集にトライ。
もちろん意味の取れない単語は散見されるが、明らかに文意の理解度と読解スピードが向上したことが実感できた。
単語によっては意味を知らなくても推測が効くことや、読み飛ばしても回答には差し支えがないワードがあることにも気がつき出す。
そして語彙力の増強によりある程度英文が読めるようになると、なんとなく自分の文法力というか英文解釈力もわかってくる。
英文解釈
この段階で感じたのもやはり音読の効果で、ベーシックな文章を声に出しながらひたすら頭に刷り込んだ結果、中学レベルの文法で書かれた文章は、読める。
自分で文法的な文章の成り立ちを説明しろと言われると完璧にはできないだろうが、リズムというか感覚で文意がわかるようになっている。
しかし、時々どうしても意味が取れない文章や、読めたつもりが解答と照らし合わせると意味を誤解している文章に出会う。
自分の頭に刷り込まれていない体型の文章だ。
その時点で読むことができない文章を読めるようにするにはどうすべきか考え、英文解釈なるものに手を出してみることに。
自分のレベルを鑑み、こちらを周回した。3~4周は読んだだろうか。
全体的に高校初級レベルの内容でまとまっており、実際にその年齢の読者向けに書かれていることもあり、かなり平易な文体で解説がされている。
スラスラ理解できる部分や、忘れていた知識が蘇る部分もあれば、まるで初見の内容もあったりして、個人的にちょうど良い塩梅のテキストだった。
文法に不安がある方は、中学レベルの簡単な文法書を一冊終えてから手を出して見ると良いだろう。
3ヶ月程度でスコア860オーバー
と、ここまで学習したところで何度目かのTOEIC受験のタイミングを迎え、めでたく学習継続3ヶ月程度の節目でスコア860オーバーを記録する。
正直問題の質などの運要素もあると思うが、自分の予想よりもかなり高いスコアがはじき出され驚いた。
ざっくりリスニングが9割、リーディングは8割5分ほどの得点率だった。
色々やったがやはり音読の効果は大きく、単語に関しても効率の良いボリュームゾーンを抑えられたのだと思う。
それから、実は文法に関しては個別に勉強していなかったりする。
音読の効果でベーシックな文章は単語の意味がわかれば読解できるようになっていたことと、英文解釈の学習の過程で文法知識ある程度を拾っていたものと思われる。
より高得点を狙う場合や自分で英語を運用する際には文法知識は必須になるが、網羅しようとすると学習時間がかかるため次のステップで頑張る予定。
勉強をはじめたきっかけ
TOEIC受験を考えてこのような記事を読んでくれている方は、多かれ少なかれ既に学習を志すだけのモチベーションがあることだろう。
役に立つか全く不明だが、私のも一応書いておく。
当方職業はSEをしており、技術的な問題を調査して解決する場合に度々英語で書かれた文章に遭遇してきた。
ノータイムでブラウザバックすることもあれば、日本語の情報にたどり着けずに渋々Google翻訳にぶち込む場合もあり、
いずれにせよ英語と向き合うことを避けてきた自負がある。
過去幾多の場面で目を背けてきた英文たちをもしも全て解読することができていたら、そしてこの先直面する英語をストレスなく読む能力を備えられたら、
きっと仕事の効率は段違いに向上するのではないかと考えた。
トラブルの時だけでなく、技術的な最新の情報は最初に英語で発表されることが少なくないし、そもそもエンジニアの仕事の多くは世界共通であり
自分が英語を使いこなすことで海外のエンジニアと一緒に働くことができたり、海外からの仕事を受けることができるかもしれない。
つまるところ、英語力それ自体というよりはエンジニアとして成長し活躍の幅を広げたいという意欲の元、学習を継続できた部分が大きい。