2chのオススメ漫画スレ等では常連といってもよいこの作品、『惑星のさみだれ』。
昔からネット界隈では非常に高評価を得ている印象が強い。
連載時期は2005〜2010年とまあ古くも新しくもない時期の作品だが、先日手に取る機会があり読破した。
ちなみに、タイトルは『惑星のさみだれ』と書いて『ほしのさみだれ』と読む。
引用:(C)水上悟志 『惑星のさみだれ』より
先に言っておくと、最後まで読んで非常に楽しめた作品だった。
ただし、序盤と終盤でかなり印象が異なり、読み進めるうちに個人的な評価も変化していく作品でもあった。
この漫画の凄いところは、話が進むほど勢いづき面白くなって行くところ。本当に綺麗な右肩上がりの直線を描いているイメージだ。
物語はよく見かける根暗タイプの主人公が人外のパートナー(喋るトカゲ)と出会い、異能を獲得するところから始まる。
※参考画像
引用:(C)水上悟志 『惑星のさみだれ』より
あらすじ
あらすじはウィキペディア先生から。
主人公の雨宮夕日は、ある朝、言葉を喋るトカゲから世界を救う騎士の1人として選ばれたことを告げられる。最初は無関心な夕日だったが、敵である魔法使いが生み出した泥人形の襲撃を受ける。死を覚悟したその時、守るべき姫である朝日奈さみだれに救われ、更に常人ならざるさみだれの気概に触れたことで彼女に忠誠を誓う。ここにひとつの主従が生まれ、この時から夕日の戦いが始まった。
ジャンルとしてはファンタジーのバトルものかな。 超能力というか異能要素もあり、大筋は主人公一行が世界の危機に立ち向かう流れだ。登場人物たちは獲得した能力を駆使し、黒幕である魔法使いが派遣してくる泥人形と戦って行く。
そこにちょっぴり恋愛要素もあり、青春ありといった感じだ。
主人公一行は、各々パートナー(喋る動物みたいなの)とタッグを組み、『○○の騎士』と呼称される。○○部分にはパートナーの動物の名前が入る(例えばトカゲの騎士とか)。
それぞれ異なる能力を持っていたりいい味を出す大人キャラクターがいたりと、金色のガッシュを彷彿させる要素が多い。実際、青年誌版のガッシュとか時々言われているみたい。まあ、この作品の場合戦うのはパートナーの動物じゃなくて人間なんだけどね…
序盤の印象
序盤は既視感のある緩めの師匠キャラやどこかで見たような戦闘狂キャラ、よくある主人公の精神世界などが続々と登場する。決してパクリとかではないんだけど色んな作品からインスパイアを受けて描かれていることが印象に残った。
物語のスタート時から唐突に非日常的な設定が展開する作品なわけだが、そのスケールが壮大で少し置いてきぼりをくらってしまった。
正体不明の敵と戦いながらも登場人物たちの変わらぬ日常が描かれており、敢えてなのかもしれないが恐らく読者と同じように登場人物も置いていかれてる感がある。そういう意味では足並みが揃っていて良いのかもしれない。
決して退屈なんてことはなく読み進めたが、序盤だけでは高評価の理由はわからなかった。ということは、それを知るためには読み進めていく必要があったわけだ。
3〜5巻くらいから
登場人物も読者的にも、少しづつ危機感が芽生えて行く。徐々に戦闘が本格化していき、犠牲者も出る。だんだんと世界の危機とやらが現実味を帯びてきていることに気がつくのだ。
この辺りからの盛り上げ方や危機感の演出は、凄くのめり込ませる魅力があると思った。
後半は
物語の収束に向けて怒涛の追い込みを見せる。この辺で置いてきぼりだった背景や伏線が回収されてスッキリすると共に、物語は緊張感のピークを迎えて総力戦に挑むわけだ。
終盤の盛り上がりは凄まじく、読み進める手が止まらなくなった。特に最終巻である10巻の展開は圧巻である。
というわけで終盤まで読み進めると、ネット界隈での評価の理由がよくよくわかるのでした。
ネタバレ無しだから抽象的になったけど、とにかく読んでみてほしい。
まとめ
特別長期連載ってわけではない作品だけど、ある程度の期間連載を続けるとどうしても『中だるみ』とかが生じることが多い。要は、物語の面白さを一定のレベルで維持し続けたり、ましてや向上させ続けるのは至難の技だということだ(と思う)。
この作品ではそれに近いことが実現されていると感じた。強いていうなら序盤が一番良くないんだけど、もちろん読めないレベルでは全然ない。
登場人物は、全10巻というボリュームにしては多い方だと思う。基本的にはどのキャラクターにもそれなりの出番はあるけれど、もしかしたら最後まで名前を覚えられないキャラクターが何名かいるかもしれないな。まあ顔と能力を覚えておけば問題ないだろう。
ネット界隈で高い評価を得ている理由を求めて読み進めてたら、いつの間にかはまっていた感じ。それなりに期待は大きい状態で読み始めたが、最後まで行けば評価の理由も納得できるものだった。
全10巻からなる漫画だが、読み終わった時には25巻分くらいの物語を読んだような気がしたのだった。
*1:引用:惑星のさみだれ - Wikipediaより